日本語の難しさ

フランス人には日本語が難しいとよく言われる。

 

よく考えてみればそれはそうで、ひらがな、カタカナ、漢字の三つを併用し、しかも漢字は元をたどればほとんど無際限に存在する。それらを組み合わせた上で、しかも口頭でも区別して発音する。

客観的に難しいと言われるのもよくわかる。

アルファベットは多くて30文字前後なのだから、日本語は大変だね、と同情されることがある。

それでいて日本人の識字率が高いというのは公教育の成功なのだ、と主張する人もいる。

(もちろん、そうはいってもたとえばフランス語にも綴り字や文法など難しい点はたくさんある)

 

だが、ここからさらに、「ひらがなだけでいいんじゃない?」という人もいる。シンプルにした方がわかりやすいんじゃないか、と。ここで確かに漢字文化の歴史や奥深さを説明するとだいたいわかってもらえるのだが、そういわれてみれば…という気もしないではない。

翻訳文化がもたらした豊かさだと思ってください、とお茶を濁して終わる。