数多あるパリのカフェの中で一番古いカフェが、今日行った「プロコップProcope」だ。
以前は居酒屋などで飲まれていたらしいコーヒー。このコーヒーを客に出すこぎれいな店、としてパリに1686年にオープン。あまりピンとこない人もいると思うので一応注釈しておくと、1689年がモンテスキューの生まれ年、1694年がヴォルテールの生まれ年である。つまり、フランス啓蒙思想とともに生まれたカフェと言っても過言ではない。その後ディドロやダランベールらが通ったことからもわかる通り、フランスの名文士たち御用達のカフェである。
おそらくは有名すぎて会話の端にのぼることもなく、僕は耳にしたことが無かったのだが、フランス人に聞けば、あそこ高いでしょう、と驚かれたくらいだから、やはり名の通った店であるらしい。
マリアージュフレールという有名なお茶のブランドと提携しているらしいのだが、コーヒーを一杯注文。
正面玄関入ってすぐのあたりには有名な思想家や文筆家のサインが飾ってあるほか、ディドロ、ダランベールなどの肖像画が壁にかけてある。
もうひとつ面白いことがあった。
写真をご覧ください。
二階の奥にはCitoyens(市民)と書いてあるドアが。その隣のドアにはCitoyennes(女市民)と。
そう、これはトイレのドアなのです。
普通は男性、女性と書いてあるのだが、啓蒙主義者たちのねぐらとして有名なこの店は、トイレもちょっとしゃれているのだった。
われわれはコーヒーしか頼まなかったが、牡蠣などのメイン料理もおいしいらしい。
年中無休
日曜から水曜:11:45~24:00
木曜から土曜:11:45~翌1:00
13 Rue de l'Ancienne Comédie
パリのクリスマスマーケット(Marchés de Noël à Paris)に行ってきました。
シャンゼリゼ通りからコンコルド広場までの両サイドに、11月半ばから二か月ほどの間、たくさんのクリスマスの出店が軒を連ねている。
クリスマスデコレーションも鮮やかで、24日、とくに25日はほとんどお店が休みになるので、多くのパリジャンがこのマーケットを訪れる。
今年はベルリンのクリスマスマーケットでテロがあったので、例年より出足は少ないのだろうか、幸か不幸かちょうどいいくらいの混み具合で楽しむことができた。
(これから行く人も万全の注意で楽しんでください!)
出店のうちで多いのは、クレープ、チュロス、焼き栗、ホットドッグ、ホットワインなどなど。
写真のホットドッグは「ドイツおつまみ屋」みたいなところで500円ほどで購入。
面白かったのが注文した時、「白?赤?」と聞かれたこと。ドイツでは普通なのだろうが、ホットドッグにするソーセージは二種類(以上)あるようす。
白ソーセージを注文してみたが、やはりおいしい。
こちらの写真はちょっとわかりづらいかもしれないが、子供用の遊具ふたつ。
右側がとても長い滑り台。
けっこうスリルあるみたいで、子供が何度も滑っていた。
左側がマジックジャンプ、と書いてあるように、バンジーひもがついたトランポリン。ジャンプすればある程度の高さまでジャンプできるというもの。
日本ではあまり出店の中に遊具はないが、ほかにもたくさん見かけた。
こちらは「スリラー」と書かれた小屋。
外壁にはサンタのコスプレをしたゾンビたちが踊っている。
もちろんクリスマス前には無かったものだが、この規模のものが一時的に建てられるというのがすごい。
(普段道路工事はちんたらとえんえんやっているのに)
ジェットコースターのようなゴンドラに乗って、ホラーハウス的な展示を見るツアー、ということらしい。
最後はこちら。
お分かりいただけただろうか……。
スケートリンクである。
日本と比べてもこの時期はそんなに寒いわけではないパリだが、この規模のスケートリンクをどうやって運営しているのかまったく見当がつかない。
大人スペースと子供スペースで二つにわかれていて、みんな上手に滑っていた。
ほかにも、スモークサーモンやカイロ、陶器の飾りなど面白いものがたくさんあったので、ゆっくり遊べば半日は居られそうだ。
パリは東京みたいに有名人に会うことが多いだろうと思っていたのだけれど、よく考えれば誰が有名人かあまり知らない。それこそ顔と名前が一致するのはジャンレノやブリジットバルドーみたいな超人気俳優くらいだ。
だが、たまたまフランス人の友人と夕飯をとっていたとき、有名人と遭遇したのだった。僕はわからなかったが、その友人が教えてくれた。
Vincent Lindonという人。
最近の映画で言えば「リトルプリンス 星の王子さまと私」に出演していたらしい。
カウンターに肘をかけて、ワインをすする彼は本当に映画のワンシーンみたいだった。
フランス人には日本語が難しいとよく言われる。
よく考えてみればそれはそうで、ひらがな、カタカナ、漢字の三つを併用し、しかも漢字は元をたどればほとんど無際限に存在する。それらを組み合わせた上で、しかも口頭でも区別して発音する。
客観的に難しいと言われるのもよくわかる。
アルファベットは多くて30文字前後なのだから、日本語は大変だね、と同情されることがある。
それでいて日本人の識字率が高いというのは公教育の成功なのだ、と主張する人もいる。
(もちろん、そうはいってもたとえばフランス語にも綴り字や文法など難しい点はたくさんある)
だが、ここからさらに、「ひらがなだけでいいんじゃない?」という人もいる。シンプルにした方がわかりやすいんじゃないか、と。ここで確かに漢字文化の歴史や奥深さを説明するとだいたいわかってもらえるのだが、そういわれてみれば…という気もしないではない。
翻訳文化がもたらした豊かさだと思ってください、とお茶を濁して終わる。
今住んでいる下宿にはギリシャダンス講習会みたいなものがあって、何度か参加したことがある。
ダンスといっても、ヒップホップダンスみたいなものではなくて、大勢で輪になって踊る。激しい足の交差をともなうので、ほとんどジョギングみたいなスポーツになって、運動不足の自分にはちょうどよかった。
教える人もギリシャ人らしい陽気な人で、
「左、右右、左、ワンツースリージャンプ」
みたいに、なまりの強いフランス語で教えてくれた。
あるとき、ちょっと年齢の高いおじいさんが参加したときのことだ。
左、右、とステップを教えるのだが、なかなか覚えられないし、足も軽やかに動かない、ということで結構苦戦していた。先生が左じゃなくて、右、右じゃなくて、左、みたいにして彼に訂正するのだが、いっこうにうまくならない。左、右、左、交互に入れ替えて、と先生。そのとき彼がぽつりと、「政治みたいだね」、とジョークを言った。
フランス政府は日本と違って、よく政党が入れ替わるのだが、保守政党の次は自由主義政党、と左右が入れ替わることが多い。老人は左、右、左、とステップを踏みながら、政治権力のむなしさを思っていたのだ。
YoutubeやFacebook等でとても評価されているPostmodern Jukeboxというスインググループがいる。
流行り曲のカバーで売れているというイメージが強いが、そんじょそこらのカバーバンドとは違ってまっとうな実力派なのだ。
皆さんご存知のレディオヘッドのCreepだって、こんな感じのアレンジに。
賛否両論あろうが、僕は原曲とは別物として素晴らしいと思う。
というか、原曲のいいところが分かりやすくドラマ仕立てになったような。
スイングは大げさで、しつこくて、ロマンチックなのがいい。
パリの交通事情については以前書いた通りだが、そのせいでもちろんほかの大都市の例にもれず、大気汚染が懸念されている。
その対策が大味なのだ。
一日「公共の交通機関をタダにする」という。
バスだってそうで、確か規定では奇数番号のバスはタダだったはずだ。
観光客にとってはうれしいのだろうが、パリ市民にとってはどうでもいい。なぜならみんな市内どこでも使える月ごとの定期券を持っていて、そもそもよく電車にのるからだ。
むしろとんでもなく多いパリのキセル乗車常習者が、大手をふって交通機関に乗れるという一日になっているとさえ思う。
そしてその副作用として電車の乗客がいつもより多い。どこの駅も普段の2~3割増しの人出だった。
その中でRER(日本でいうとJRみたいな感じ)のB線で故障というアナウンス。ただでさえ人が多いのに、ぞろぞろと行列ができている。
仕方がないのでバスに乗ったのだが、バスもまた混んでいる。
バスでチケットを買おうとするひと(バスは運賃制ではなくてメトロと共通のチケット制なので、バスの運転手から直接買える)に、運転手は「今日は無料です」と伝える。
なんで?と彼らは聞くのだが、運転手の答えがそっけない。「大気汚染だから」。
Fanta instamixという商品をご存じだろうか。
どうやらまだ日本では発売されていないようなのだが、要するに、
「インスタントで味をミックスするファンタ」
ということらしい。
見た目にも、味にも、変化がついておもしろいらしい。あんまり評価されていないようだけど。
でも、このビジュアル、なぜか既視感があって、なんだろうと考えていた。
ふと気づいた。それは「グレナディン」と呼ばれる飲み物だ。
普通のクリスタルガイザーなんかのペットボトル飲料水に、そのままグレナデンシロップを入れる。
すると透明だった水が色づき、おいしいジュースに早変わりというわけだ。
当然糖分はすごいし、味もまぁ甘い。
クレープ屋なんかで買うと、市販のペットボトルに開けたままシロップを入れるとこぼれてしまうので、最初の一口を飲んでから店員に返し、その分注いでくれるという手順になっている。
なんとも簡単な飲み物だが、大学なんかではよく飲んでいる人を見かける気がする。
ともかくそういう発想の人々だから、もともとある飲み物にソースを加えるという発想に違和感はないのかもしれない。