ビヤンエトワ

Ça va ? サヴァ?

 

という挨拶は日本でも有名で、もちろん「元気?」という意味なのだけれど、どうもテンポが難しい。

日常生活でÇa va、という言葉を使う機会はとても多いし、その都度ちょっと変な間があいてしまう。

 

どういうことか説明しよう。

「Ça va?」に対する答えは「Ça va bien.(元気だよ)」等なのだが、ここが問題なのだ。

どうもフランス人はこの挨拶にほとんど何の感情もこめていないらしい。

つまり、こちらがもし疲れぎみだったとしても別に答えは「Oui,  ça va.」で構わない。Bonjour.やSalut.と同じで、挨拶のための挨拶という感じらしい。

考える必要は全然ない。だからこそ、テンポよく答えられないと「変な人」っぽくなる。

 

しかも、なんとなく観察していると、Ça va bien.で会話を終えている人はほとんどいない。だいたいがこう答えているのだ。「Bien, et toi?(元気さ、君は?)」。

これで相手に会話のキャッチボールを投げ返したことになり、ワンターン続いたということになる。

だが、これが本当にタイミング早くて、いわゆる食い気味のテンポで展開される。実際はビヤン、エトワと発音するはずなのだが、ベネトワ、くらいの感じだ。

 

個人的な感覚だと思うが、朝一に誰かとであって「ボ」ンジュールとか「ビ」ヤンエトワとか、Bの口にするのがとてもおっくうだ。朝はまどろみの中で口元をぼんやりさせていたい。ヨダレさえぎりぎり垂れていなければ十分だ。そんな時にサヴァ、である。

ならば、もうこちらとしてもベネトワ、をあらかじめ準備しておくほかない。相手に考える隙を与えずに切り返す。

さながら武士である。