ニュイ・ブランシュ2016(その2)

前回の続き。

全体テーマの物語内で出てくる「森」のイメージで、オテルドヴィル(市役所)前の広場に大きな展示があった。見渡す限りの白い舞台に、白く塗装された木の太い枝が並べられている。いくつかの枝はゆっくりと回転している。

グリム童話などにインスピレーションされた、というこの作品は「眠さ」というタイトルで、森の中の凍った湖を表現している。

その裏では、ロックバンドが演奏していて、かなりの人だかりになっていた。ここに限らず、演奏家は街角にちらほらいた。ニュイ・ブランシュは芸術を鑑賞する、というよりは芸術をネタにみんな街へ出て騒ぐ、という感じだった。

あんまり長居しても仕方ないので通り過ぎてしまったが、久しぶりに生演奏を聞いたという気がした。

これはMurmurという作品で、「壁おしゃべり」とでも訳せばいいのだろうか。murというのが壁という意味で、murmurerというのがごにょごにょ話すという意味。ふたつの掛詞になっている。

右側にコップみたいな形の受話器があって、そこに話すと、糸電話みたいにケーブルを伝って光線が発射され、壁に音波の絵が出現する。

ある女性が、携帯電話に出てもらった友達に叫ばせて、遠隔おしゃべりを投影していた。(でも、友達には見えないからかわいそう)

(その3へ続く。次は屋内編)