クスクスCouscousという食材がある。
簡単に言うと細かい粒状のパスタである。北アフリカなどで食されているという。北アフリカに領土のあったフランスでも完全に定着しており、一般的な食材である。
作り方は簡単で、適量のお湯でゆでるだけ。クスクスは思ったより膨らむので、お湯とクスクスはだいたい1:1くらいが目安だ。
ごはんが恋しくなったり、パンを買い忘れたりしたときに、簡単に作れるクスクスはとても便利なのだが、今まではなんとなく一味足りないというか、好んで食べたいとは思っていなかった。
昨日、スーパーでオリーブオイルを買った。今までは共用スペースにあったサラダオイルを使っていたのだけれど、ちょっと気になって買ってみたのだ。夕飯は久しぶりにクスクスにしようと考えた。
実は僕はレシピを見たことがなく、友達の言う通りに作っていたのだが、その日初めてパッケージを読んでみた。すると、「仕上げにオリーブオイルを入れること」と書いてあったのだ。
炊き上がったご飯的なものに油をかける、なんて僕の発想にはなかったので半信半疑である。ほくほくのクスクスにとろっとオリーブオイルをかけ、混ぜ合わせてみる。あたりに豊かなオリーブオイルの香りが広がり、クスクスもつやっぽさを増している。
料理なんて今までほとんどすることがなかったので、こうしてひとつひとつの出来事と出会っていくのが楽しいと思えるようになってきた。毎日玉ねぎを刻んでいると、なんとなく手つきがそれっぽくなるし、パスタひとつ茹でるにしても手際が良くなる。使える食材も増え、レパートリーも増える。
得意分野ばかりにこだわっていては、こういう楽しみに出会えないのだろうな、と思う。
さて、例のクスクス、食べてみて驚いた。オリーブオイルと調和してとてもうまいのだ。油なんて何を使っても(ごま油は別だけど)同じだろうと思っていた自分が恥ずかしい。
これからどんどん使ってみよう。
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