雹の降る日

友人と久しぶりに音楽を聴きに出かけた。場所は前に書いたこともある、La chope des puces。騒ぐ人たちも、煽情的なギターも、週末の昼の気分によく合う。

 

クリニャンクールという蚤の市で有名な駅の近く、パリの北のはずれのカフェなので、周りの雰囲気はあまりいいとは言えない。どの大都市もそうだと思うけれど、周縁地区には貧しい人々がたくさん住んでいる。

 

座っていると「日本人かい?」と尋ねられる。俺は昔、○○という男と仕事したことあるんだぜ、知ってるかい? 日本はいいところだね、などとじゃんじゃん話しかけられる。語学学校で習う「正しい」フランス語とは違って、省略が多くアクセントの強い話し言葉は、僕の語学力では理解できたりできなかったりする。それでもお構いなしに彼らは話しかけてくるし、僕もおかまいなしにコーヒーを飲んでいる。流れてくるのはジプシージャズ。こういうとき、異文化共存というと大げさすぎる。何かもっとへらへらした語が欲しい、と思ってしまう。

 

昨日は11月半ばにしては珍しく雹がはげしく降ったので、店から出ると風が冷たかった。ぱかぱかと音がして、振り返ると騎馬警察が道を行くのが見えた。グラフィティのあふれかえる街で、クラシックなリズムにのって彼らは悠然としていた。隣で友人が身体を震わせ、韓国語で「さむい」、とつぶやいた。