鶴のかくれ家

パリには、イメージ通り、芸術家がたくさんいる。主収入は別にあって、ちょっとした時間に絵を描いているだけでも彼らは「アーティスト」を名乗るのだ。

 

芸術家には必ずひとりっきりになって創作する時間が必要だ。最近教えてもらったのだが、かの天才ダ・ヴィンチがこう言ったらしい。

「画家は孤独でなければならない。一人きりのときに彼は完全に自分自身になれるのだ」。

かくいう僕だって、芸術家というわけではないけれど、何か新しいものを書いたり作ったりするときは一人にならなければならない。家の人がいるときは別の部屋に隠れたり、ちょっと外に避難したりする。

 

ふと、おとぎ話の「鶴の恩返し」で「私が機織りをしている間はけっして覗かないでください」と言った鶴の気持ちがわかったような気がした。素晴らしい布を織る鶴はきっと、芸術家だったのだ。