オペラ・バスティーユ「魔笛」

友人たちと連れ立って、オペラの魔笛を見てきた。

 

魔笛といえばフランス革命真っ只中の1791年初演、モーツァルト作曲のオペラであり彼の遺作でもある。

曲の良さや演出の派手さ、そして脚本の難解さも手伝って未だに人気演目となっている。

 

新オペラ座こと、バスティーユのオペラ座に行って見てきた。

それも立ち見(5€)で!

この立ち見というやつは結構裏口入場みたいなところがあって、時間に余裕がある人しか使えない技かもしれない。

オペラ座地上階の入口付近で16時から16時半くらいに行けば、ダフ屋みたいなおじさんが整理券をくれるのだ。しかも手書きの番号だけ振った、「いかにも」なやつ。ほんとかよと半信半疑だったのだが、18時、開演1時間半前になるとこの整理券順に並び始めているではないか。たった32人しか入れてもらえない(整理券1枚で最大2人入れるので、整理券16枚以上は運次第である)のだが、5€はほとんどタダみたいなもの!

 

立ち見とはいえ2幕からは空席に座らせてもらったりしてくつろいで見ることができた。

ぜひ狙ってみてはいかがでしょう。

さて魔笛についてだが、あらすじはというと、

「光の国の王、ザラストロにさらわれた王女を助けに行く王子と狩人が、最終的に寝返ってザラストロの国でそれぞれの恋人と結ばれる」

という話だ。

なんのこっちゃという感じ。第一幕でザラストロは悪の大王みたいな言われ方をしているのだが、第二幕では知恵と力を統べる王として語られる。いわば善と悪が逆転するのだ。

もちろんこの脚本については賛否両論あって、めちゃくちゃやんけという人もいれば、あえてそうしているんやんけと整合的に解釈する人もいる。どちらにせよ見る人の関心を引いてやまないストーリーであることは間違いない。

 

見どころはというと、「王女のお母さん(夜の女王)が王女を取り戻しに来る場面」のアリアや、「狩人が恋人と愛を語り合う場面」のアリア、そして最後の大団円など。名曲ぞろいでキャラクターもはっきりしているので見ていて飽きるところがない。今回の演出は割と簡素で、舞台の真ん中を遮るスクリーンへの投影で時間の経過や場所移動を示していたほかは、派手さはない印象。ユーチューブなどではもっと派手な演出のものが見られるのだが、今回は渋好みといったところか。もっとも、こうした有名なオペラに関しては、演出は簡素なほうが象徴性が浮き上がって見えて良いのかもしれない。

(なお、写真はカーテンコールのとき。上演中はもちろん撮影禁止)

まだ公演は残っているので、興味がある方はぜひ。