クレジットカード騒動

なにかと物騒な世の中ではあるものの、今日は本当に人に助けられた。

元来考え事ついでに行動することが多いので、よく物を無くす。日本でも、その回数が減っては来たものの、何度か財布を無くした。

今回はパリである。しかもクレジットカード単体。ただでさえスキミング犯罪が多いパリで。

 

近くのスーパーで買い物、その支払いの段になってなぜかカードがない。

あれ?財布にないので、謝罪を言って、すぐ戻ってきますと伝えた。

 

部屋に戻って、昨日の晩にビール飲んだ時にポケットに入れたのだろう、と高をくくっていたのだが、どこを探してもない。ポケットにもコートにも。

まずい、このままでは生活ができなくなってしまう。というのも、前にも書いたがフランスはカード社会であり、ほとんどの支払いはカードで行っているからだ。

焦りつつ、とりあえず別のカードを持って部屋を出る。昨日の店はすぐ近くだ。

歩くのももどかしいくらいだったが、ついた店で尋ねる。カード落ちてませんでしたか?

店員は、いや、聞いてないし見当たらないなぁ、もし見つかったら電話するから番号教えてくれる?、と答えた。がっかりしつつも電話番号を教えると、彼は、銀行に電話しなよ、と言う。ありがとう、そうするよ、と肩を落としたが仕方がない。このままスーパーに戻って、別のカードで支払おう。後のことはそれからだ。カードを止めて、新しいカードを作って、郵送してもらって、と様々なことを考える。もしスキミングされていたらそれはそれで厄介だ。

さて、スーパーに入るやいなや、ガードマンに呼び止められる。こっちこっち!

ついていくと、なんとレジのおばさんがカードを持っているではないか。ひらひらと。

曰く、支払いの前に僕が手提げ袋に商品を入れていたとき、カードだけその台に置いていたのではないか。そしてそれに気づいたとき、日本人が居たから聞いてみたけど、この名前は知らないと言っていた。見つかってよかった、怖かったでしょう。

安堵とあいまって、そのおばさんの言葉が染みる。自分が100%悪いのだが、みんなして心配したりよかったねと言ってくれたりで、とてもありがたかった。どこかの過程で悪意ある人がかかわっていたら、最悪の結果になっていたかもしれない。こんな時に日本だったらもっと丁寧にお礼が言えたのだろうけれど、僕のフランス語はそこまでのものではない。もどかしいけれど、気持ちを込めて、本当にありがとうMerci beaucoupと伝えた。