小銭がない

フランスは日本と違ってほとんどの買い物をクレジットカードで済ませてしまう。たとえスーパーでスナック菓子をひとつ、という場合でもカードでOKである。別に嫌な顔をされるわけでもない。

だから、ほとんど高額紙幣の出番はない。以前スターバックスで50ユーロ札(6000円くらい)を出したところ、それでは払えません、と言われたことがある。銀行からお金を下すときも、「20ユーロ、10ユーロ札だけでの支払い」という選択肢があるほどだ。

しかし、だからこそ、小銭しか使えない場合にとても困ることになる。たとえば僕の使っているコインランドリー(laverieとかlavageと看板に書いてある)は、一回2ユーロ+乾燥機1ユーロだし、自動販売機は一つ1ユーロから2ユーロである。こまめに用意しておかないと、わざわざ買い物してお金を崩しに行かないといけないことになる。5ユーロ紙幣なんかと比べれば、むしろ小銭で持っていた方が使い勝手がいいのだ。

 

ある時、パン屋Boulangerieでパンを買うとき、レジのお姉さんがどこかへ出かけてしまった。ちょっと待っててと言い残して。数分待っていると、だんだんお客さんが増え、列をなしていく。先頭の僕に、レジ係どこへ行った?とか訊かれるが、わからないものはしょうがない。10分ほどして、彼女が戻ってきた。曰く、「小銭を作っていたのよ」。なるほど、そういうこともあるのか。