路上駐車

パリはメトロが縦横に走っているため、どこへ行くにも電車で事足りるのだが、それでも車道の交通量はとても多い。大きな交差点で、信号が変わるときなんて、左折待ちだった車両がたくさんぐいっと入って来るためにクラクションの応酬、という光景は日常茶飯事である。(左ハンドル、右側通行なので、こちらの左折は日本の右折の感じだ)。

 

車が多いとなると問題なのが、駐車場だ。正規の駐車場もあるにはあるのだが、路地などに路上駐車する人がとても多い。それもそのはず、駐車に対する罰金がたったの17ユーロ(2500円くらい)だからなのだ。わざわざ月ぎめの駐車場を借りるよりは罰金を我慢してでも違法駐車、となる気持ちはわからないでもない。

パリは景観保護のために、市内で新しい建物の建造を制限したりしているのに、こうした自動車事情はさっぱり改善する気配を見せない。

 

なんとなく、ジュリー・デルピー監督主演の「パリ、恋人たちの2日間」という映画を思い出す。その中でデルピーの、モラルのかけらもない父親が、路上駐車している車に鍵で「ギギギギギ……」と傷をつけて回るシーンがあった。このくそ親父、と笑いながら見ていたが、そうしたくなるのもわかるくらい街中は車ばかりなのだ。

そういういやがらせをされないためにか、もともとは高級車であったはずの車が、ほこりまみれだったりヘコミだらけだったりして、持ち主はそれを直そうともしない。日本で路上駐車している車がピカピカなのは、むしろ驚くべきことなのかもしれない。